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【コラム】子ども・家族の生活場面にあった支援を〜外来部門から

 
子ども・家族の生活場面にあった支援を〜外来部門から
小児科部長 紀平省悟

●つくし医療・福祉センターは重症心身障害児の入所施設として長い歴史をもっています。一方、最近は自閉症スペクトラムなど発達に偏りのあるお子様への支援のニーズ答えるべく、外来診療部門の充実にも努力して来ました。現在は小児科医、児童精神科医を中心に、リハビリテーションのスタッフによる作業療法、言語療法、理学療法、そして心理士によるカウンセリングや心理療法など、それぞれアセスメントに基づいたセラピーを提供しています。
 
●私自身の外来は3歳から就学前のお子さんを連れた親御さんの受診が圧倒的に多く、ほとんどが保健所や学校からの紹介です。なるべくゆっくりとお話をうかがうこと、自然な遊びの中でお子様の行動を観察させていただき、見立てをわかりやすくお伝えするため、とくに初診は1時間から1時間半かかります。就学前・後の集団生活上の困難や進路選択など本人や親御さんの悩みに寄りそうことを心がけており、必要な場合は保育士、教師、地域の保健師など同席のもとに話し合いをすることも増えつつあります。
 
●また近年は多様な支援のかたちを試みており、2014年から親御さん向きのペアレント・トレーニング(プログラム)を数回、2016年は子ども向きグループ・プログラム(第1回)を実施してきました。スタッフがチームで保育や教育現場に出向く事業(保育所等訪問事業)も行っています。
 
●子どもに関わる職種や機関は多様であり、医療だけでなく保育・教育・福祉をとりまく制度も複雑になってきました。目下、当センターの在宅支援部門や相談事業部門の担当スタッフを中心に機能強化を図っていますが、ますます職員全員にそれぞれの専門性を高める努力が求められていることを痛感します。
 
●私たちの責務は個人やひとつの組織だけで果たすことは出来ません。これから私たちに必要とされるもののひとつに、職種や機関を越える「ネットワーキング能力」という別の専門性があると言えます。支援が本当に子どもの暮らす生活現場に役立つ中身になるためには、最初の段階から子どもやご家族との協働作業が不可欠です。従来、支援の立案や決定にあたり、当事者・ご家族の意思が必ずしも十分に反映されてこなかったという反省にたち、私たちは新たなミーティングの手法を導入しようとしています。「未来語りのダイアローグ」などの対話実践がそれです。それらの手法を当センター内のみならず、地域にも普及させたいと考えています。

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